flower atelier Loto. 平光繁仁さん

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岩国で花開いた人生

さまよう青年時代
平光さんが生まれ育ったのは広島県の五日市町。
父親は建築関係、母親は飲食店を経営していた影響もあって、早くから会社勤めではなく、自営することを意識するようになったのだとか。
幼い頃から物づくりや絵を描くことが好きだったこともあり、クリエイティブな仕事に就きたいと思うようになった。
ところが、20代前半は、何を仕事にしたらよいのか、自分はいったい何に夢中になれるのかがわからず、色々な仕事に就いては辞めるの繰り返し。
「何をやっても長続きしない人」と、周りからは言われていた。

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出合いは突然に
そんななか、たまたま目にとまった花屋のアルバイト募集広告。
建築の仕事に魅かれ、店舗デザインの会社に就職も決まり、入社を待っていた時のこと。
その時は花屋なら色彩やインテリアの勉強になるだろうと、軽い気持ちだった。
職場は広島市内の商業施設にオープンする、ある有名なフラワーショップ。就職を控えた身だから、2ヵ月後には辞めるつもりで…。
ところがある日のこと、花屋のオーナーの仕事に目を奪われた平光さん。それは、茶色のバラに枝モノを組み合わせるという意外なアレンジ。
出来上がった花束は、それまで見たことのないダイナミックなものだった。
「これがやりたい!」。
衝撃を受けた平光さんは、せっかく決まっていた就職を取りやめ、花の世界へ飛び込んだ。

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妻の一言
意気揚々とフラワーショップで働きはじめた平光さん。しかしそこには厳しい現実が…。
早朝から夜中まで働き続け、職場の人間関係にも苛まれ、身も心も疲弊。
そしてついにストレスから体調を崩し、店を辞めることに。あれほど好きだった花を「見るのもイヤ」になったほど…。
その後、25歳で建築の仕事へ戻ったけれど、「でも、花のことを忘れることはなかったですね」。
結婚したばかりの妻・明子さんからは、「自分が納得いくことをしたらどう?」と背中を押され、再び花の世界へ身を投じることを決意。
生活のために建築の仕事をしながら、フラワーデザインを学校で一から学び始めた。

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友人の一言
フラワーデザインを学び始めて7年が過ぎたころ、開業を具体的に考え始めるようになった。商売にとって、立地はとても重要。
候補は、広島市よりももっと人口の多い福岡や京都。
ところが、平光さんは結果、大都市ではない岩国市を選択。そのきっかけは、友人のある助言だった。
「やっていける人は、どこでだってやっていける。ダメな人はどこでだって、やっぱりダメだ」。
その言葉は平光さんにとって、ちょっと悔しいけど、納得の一言だったのだとか。
岩国市は平光さんにとっては妻の故郷。あるとき、ふらっと岩国の街を歩いていたとき、見つけた貸店舗の看板。
建物のなかを見学すると、一度は店舗デザインの道に進もうとした経験もあり、すぐに花屋のイメージが溢れてきた。
こうして、平光さんは家族と共に広島県五日市市から移住。33歳にして、念願のフラワーショップを開業した。

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岩国の人たち
岩国に暮らし、岩国で商売を始めてみて、わかったことがある。それは、岩国の人の「優しさ」。
店舗物件の相談をした不動産屋さんの対応からして、とても親切だったとか。
「些細なことですが、店の前にある横断歩道で立っていると、車が必ず止まってくれるんですよ」。
今まで住んでいたところではありえなかったこと。

業種の枠を超えて街の人たちとつながって、岩国の街をもっと盛り上げていきたい」。
岩国のことを語る目が一段と輝く平光さん。

きっと、花の仕事に出合えたときも同じ目をしていたのだろう。

flower atelier Loto.
フラワーアトリエ ロト

岩国市山手町1-10-2
TEL/0827-30-8787
営業時間/12:00~20:00